
転職支援、その展望を探る
要請というのは、「ACS」に記載された原告5人の人事情報に関して、解雇の要件として適切な事項を整理し、それをもとにC社側の弁護士と協議してほしい、またその場で、同様の案件を多数扱った私たちの経験を通じて、忌憚のない意見を述べてほしい、というものでした。
喜んでお引き受けしたのはいうまでもありません。
ところで、「ACS」というのは、社員個々人について採用から退職に至るまで、さまざまな人事プロセスの管理がWeb上でできるビジネスツールです。
ある社員(たとえばジュディーさん)の個人情報(家族情報、保険の情報など)と人事情報(出勤時間・退社時間・有給休暇・欠勤など)に至るまで、満遍なく記載されています。
と同時に、ジュディーさんの職務内容とそれに連動する期ごとの目標、その達成度と上司による評価、評価にかかわる上司との定期的な対話の内容、さらにはその都度行われる注意や賞賛までが、こと細かく記すことができます。
ACSTは、Webベースで人事業績管理(ペイ・パフォーマンス)と人事プロセス管理(採用、人事管理、退職、解雇)ができる登録商標された画期的なマネジメントツール。
インターネットさえあれば人件費のコントロール、法的リスクの最小化、生産性の向上、人事書類に費やす時間の削減、最新の正確な人事情報の入手が可能になる。
つまり、人事プロセスと業績とが、「ACS」において一元的に管理できるわけです。
とはいえ、「ACS」は会社側(人事部門や上司)が社員を管理するだけのツールではありません。
ここに記されている内容は、アクセス権をもった人なら誰でも(人事マネージャーや上司だけでなく、ジュディーさん本人も)自由に閲覧することができます。
つまり、ジュディーさんにとっても、その場にいない上司に年休を申請したり、改善提案を発したり、また自身の目標設定やその進捗状況、期ごとの業績評価などを確認したりするときにも活用できるわけです。
この裁判において、C社の主張を有利に導いたのは、「ACS」に記録されていた原告(訴えた側)5人の勤務状況や業務評価の記録に関する情報でした。
つまり、度重なる遅刻の記録、職務内容の不履行、職務の手抜きやミス、接客態度などに対する上司からの注意の記録、それが改善されないことへの再注意・再々注意の記録などが、そこにきちんと保存されていたのです。
もちろん、記録されていただけでは「解雇の事由」として十分ではありません。
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